もぐさの話
Kame君とFukusukeさんの会話はお電話で大変によく頂く内容です。
会社の古株に聞いてみると昭和から平成に時代が移る頃から徐々に増えてきた質問だと言ってます。
もぐさ選びのヒントが有れば教えて欲しいな~
それ、大切!!
まず、お灸を直接肌の上に据えるのか?間接的に温める目的でお灸をするのか?この出発点をハッキリと意識する事から始まります。
直接灸用のもぐさと間接灸のもぐさってことですね。
そう。直接灸なら6種類。間接灸なら5種類あります。
お値段が高い方がやはり治療効果も高いのですか?
一概にそうとも限りません。現状の症状に適したもぐさで灸治を施すことが大切です。もぐさはすべてヨモギが原料ですから!!
原料となるヨモギからもぐさとして製造出来る量でもぐさの価格は基本的に決まります。精製度が高いと価格は高くなり、低いとお手頃な価格となります。また、精製度合いの高いもぐさ程火の当たりが優しく、(火の)点きが早く素早く燃え尽きます。
よく分からない時や迷ったときは問い合わせても?
お気軽にお願いします。
継承の技術
施灸は家庭の医学として民間療法としての立ち位置が長きに渡り現代にも引き継がれてきています。
またお灸文化としてのもぐさ製造も進化を続けてきています。
しかし残念なことにKame君とFukusukeさんの会話は「もぐさ」が身近な存在として個人またご家庭から徐々に認識されなくなってきている事を伺わせるお問合せ内容だと推測しています。
事実としてお伝え出来ることは、どの時代もよもぎを原料としてもぐさを製造をし継承している事です。
もぐさの価格はどのように算出されるのか?
もぐさの価格を算出する根本は使用する原料(よもぎの葉)から商品(もぐさ)がどれくらいの量を生産出来るのかという点です。
これを弊社では分戻り率と言っています。
もぐさは直接お灸をする際に用いる点灸(透熱灸)用もぐさと温める事を主な用途として使用する温灸(隔物灸)用もぐさの二種類に大別出来ます。
点灸用のもぐさと温灸用のもぐさを比較すると
点灸用のもぐさは精製度が高くそのため原価費が高くなります。
例えば10kgの乾燥よもぎ葉から5kgのもぐさを製造する時の生産コストと1kgのもぐさを製造する時の生産コストを比較してみれば一目瞭然です。
国産よもぎと中国産よもぎを比較すると
またもぐさの原料となるよもぎも国産よもぎと中国産よもぎでは価格が違います。
皆様のご想像とおり国産よもぎの方が中国産よもぎよりも価格が高くなります。
点灸用のもぐさは国産よもぎが、温灸用もぐさは中国産よもぎが製造するには適しています (生産者としての言い分が含まれているかもしれませんが)。
仮に3%の分戻り率のもぐさと10%の分戻り率のもぐさが目の前にあるとしてどちらのもぐさの治療効果が高いと思われますか?
そもそも元は同じよもぎ葉なのです。
点灸用もぐさ最高級品位の「家伝もぐさ」と最もお値打ちな温灸もぐさ「荒挽き温灸竹印」
どちらのもぐさも原料はよもぎです
お薦めは? ウチの店は何だってお薦めだよ
一見のお店での会話に近いかもしれませんが、
どの時代もよもぎを原料としてもぐさを製造をしているにも関わらず粗悪表現はいただけません。
よもぎからもぐさ
もぐさはよもぎを原料とし製造している事は分かって頂けたと思います。
またもぐさの価格と施灸効果が必ずしも比例している訳でない事もなんとなくご理解いただけたと思います。
人様の前でゴルフのスコアーを口にした事のない私の例え話で誠に恐縮ですが、「もぐさの上手な選び方」はゴルフ場でのクラブ選びに似ているかもしれません。
飛距離や方向などを考えれなければどのクラブを選択してもボールを打つことは可能です。
しかしそのホールその局面に適切なクラブ、出来ることならベターよりもベストなクラブをチョイスしてスイングしたいという思いは全てのゴルファーが認めるところです。
もぐさ選びに話を戻せば、直接肌の上にもぐさをのせてお灸をするのか? 肌の上に直接にはもぐさをのぜずお灸をしたいのか?大きな選択です。
と言うのも、 これはもぐさを製造するうえでも明確に作業工程が違うからです。
同じもぐさでも燃焼温度も燃焼時間も違う「もぐさ」になります。
直接灸と間接灸
直接灸と間接灸はどちらの治療効果が高いのか?
プロの指導のもとでお灸を行っている方なら確実に直接灸です。
ただ火傷をするリスクを背負っているだけに初心者には壁が高いかもしれませんが的確な灸治となります。
直接灸をされる場合のもぐさ選びは?
もぐさの精製度合いです。
もぐさに火を点け燃え尽きるまでの一定の速さや熱感は、精製度合いに比例します。
不純物が少ないもぐさ程治療効果が高いという見解は殊更間違いではないのです。
お灸治療で有名な先生方の多くは精製度の高いもぐさを購入される傾向が顕著です。
精製度の高いもぐさとはよもぎの葉の裏にある白い毛(毛茸)だけを丹念に抽出したもぐさという事です。
灸法にもよりますが透熱灸(直接肌の上にもぐさをのせてのお灸)は、もぐさを必要量だけひねり使用するスタイルが現在では一般的です。
透熱灸(直接肌の上にもぐさをのせてのお灸)は火力をコントロールする事で治療効果をあげています。
これは一定の時間で一定の熱量を加え治療効果を確認する事が重要だからだとお聞きしたことが有ります。もぐさに不純物(乾燥よもぎ葉にある毛茸以外の部分)が混ざっていると、一定の時間に一定の熱量を加える火力のコントロールにブレが生じます。
このブレを抑えるため透熱治療に使用するもぐさは精製度の高いもぐさとなります。
勿論、精製度の高いもぐさ(=不純物が少ないもぐさ)程、価格も高くなります。
精製度合と価格は比例します。
直接灸で使用するもぐさは、精製度の高いもぐさです。
鍼灸院や治療院へご相談
弊社の場合、ご自身で直接灸(直接肌の上にもぐさをのせてのお灸)を始める前に一度ご近所の鍼灸院や治療院へご相談される事をお薦めしています。
直接灸を施す場合はやはりもぐさの精製度は高くなけばなりません。
今回の動画でご使用頂いた「家伝もぐさ」は弊社の点灸もぐさの中で最も精製度の高いもぐさです。
↑↑↑ 治療風景に関しての詳しい記事は:お灸を頭のテッペンに ↑↑↑
間接灸の治療効果は薄いのか?
決してそんなことも有りません。
施灸方法が違うために二つの灸法を並列にし比較することは出来ませんが、ゴールはどちらも体のケア及び治癒です。
高い山に登る二つのパティーが同じ登山口にいるとします。
経験豊富な熟練者そろいのパーティは、激しく険しい山道でも多くの経験と知識で最短のルートを見つけ山を登りきることが出来ます。
でも山登りを始めたばかりの登山者でも迂回ルートを選択し時間を掛け長い距離を歩けば登頂に成功するはずです。
継続は力なり!!なのです。
灸頭鍼用もぐさ
間接灸用のもぐさには、鍼の柄にもぐさを付けお灸をする灸頭鍼用もぐさがあります。
この施灸方法の場合は鍼柄に付けたもぐさが割れないようにネバリのあるもぐさが求められます。
もぐさのネバリはある一定の精製度が求められます。
精製し過ぎると価格に転嫁されますし、精製度が低いとネバリが出ません。
もぐさ製造の中では稀有な存在です。
灸頭鍼用のもぐさキャップなども販売されているために併用される鍼灸師もおられます。
例外なく灸頭鍼治療は鍼灸師の国家資格を有した者のみが行える施灸方法です。
燃焼温度と燃焼時間
温灸用もぐさの燃焼温度と燃焼時間は比例します。
原料のよもぎに近い形のもぐさ程燃焼温度が高く燃焼時間も長くなります。
くすぶるように燃え続けるという表現が当てはまると思います。
点灸用のもぐさと比較してもお灸に使用する一回のもぐさ量が多い為に購入コストは重要なポイントになると思います。
弊社で一番粗く精製している「荒挽き温灸竹印」は燃焼温度が高く燃焼時間も長い為に、畜産農家を経営されておられる方にもご購入頂いています。
直接灸であって間接灸のような柔らかい温度の施灸方法が「八分灸」です。
直接灸と間接灸のいいとこどり灸法です。
↑↑↑プロでなくても効果大、ご家庭でも出来る直接灸 ↑↑↑
もぐさを賢く選ぶには!!
もぐさをカテゴライズすると?
もぐさの原料がよもぎである事は既に承知して頂けたかと思います。
そのよもぎ葉と艾葉は同じ植物であることはご存知ですか?
艾葉と書いてガイヨウと読みます。艾葉とは日本薬局方外生薬規格に収載されており当然に医療用医薬品の薬効分類効果が記されています。すなわちお薬です。
一方、よもぎ葉と記載した場合はどうなるでしょう?
よもぎ葉は食品に分類され、食品である以上は薬効成分の記載は有りません。そのよもぎ葉を原料にもぐさを製造する訳ですからもぐさ自体にも薬効成分は有りませんと云う論法になります。お灸をする事でもぐさに治療効果があらわれます。
どの灸法?
どの症状にはどの灸治を施すのか?
透熱治療をするのか?温灸治療をするのか?
そのためのもぐさはどのもぐさをチョイスするのか?
治療費用と商品購入価格の整合性はとれているのか?
ボディーメンテナンス以外にもご自身のお財布とのメンテナンスにも臨まなければなりません。
だから、弊社は点灸用もぐさなら6種類、温灸用もぐさなら5種類の商材をご用意させて頂いています。その時々の状況や環境に対応していければと考えています。
- 「もぐさがキレるって?」
- 「アヤに惚れるとどうなるの?」
- 「もぐさのコシは何処にあるの?」
- 「ゴマはどこで見つけられるの?」
お灸の話
もぐさ文化からお灸文化へ
Kame君とFukusukeさんの会話を更に読み解きます。
「もぐさ」が身近な存在として個人またご家庭から徐々に認識されなくなってきている事を伺わせる内容だと推測している事は既に書き記しました。
もぐさをひねる
少し悲しい思いがありますが、それは施灸が「もぐさ」をひねりすえる行為から台紙にのせた「お灸」のタイプに変わってきたのだとも推測しています。
そこにはもぐさのチョイスは有りません。もぐさを原料にお灸商材を製造した商品の出現です。
より手軽でより簡便である事を時代が求めた結果です。
言い換えれば「もぐさ」が世の中から忘れ去られようとしていたかもしれない時代に手軽さが手を差し伸べ「お灸」という言葉が土俵際で時代に踏みとどまったのではないかと改めて認識しています。
ご家庭でも出来る間接灸
先日、ダルビッシュ投手のSNS投稿を拝見しました。
弊社は「もぐさ製造」に主眼を置き社会との接点を模索しています。
残念ながら話題の火を使わないお灸を製造していません。
でも「お灸」というワードが世の中に一歩浸透した気持ちになりました。
台紙付のお灸が更に簡便化した模様です。
ただ、火を点けるお灸とはタイプが異なります。
当然に熱感の持続時間と熱感が違います。
台紙付お灸広重
台紙付のお灸は多くのメーカーさんから発売されています。
弊社の商材は「台紙付お灸広重」になります。
- パッケージは歌川広重の木曽海街道六拾九次之内柏原を採用しています。
- もぐさ部分はもぐさ屋らしく直接お灸をする時に使用する点灸用もぐさを使用しています。
点灸用もぐさを使用する事により
- 火を点けた時に立ち上る精製度の高いもぐさ特有の香り
- 火を点けた時の熱感の持続時間が他社さんとは異なります。
ご家庭でのセルフケアにご使用ください。
もぐさ部分に点灸用のもぐさを使用することによりお灸特有の心地の良い熱感を実感できます。(目安となる熱感:43℃~45℃)。熱さを強く感じた時は取り外して下さい。
↑↑↑ 台紙付お灸の使い方↑↑↑
棒灸ぬくもり
点灸用のもぐさを使用し直接灸のような熱感の再現を目指す「台紙付お灸広重」に対して温灸用のもぐさを使用しポカポカと心地よい温灸治療の再現を目指す「棒灸ぬくもり」。台紙付のお灸と比較して施術個所をより大きな面で温める事ができます。琵琶の葉温灸などは同じカテゴリーの商材です。棒灸と施灸箇所の間に琵琶の葉を敷くと琵琶の葉灸と呼ばれる灸法になります。
省エネの医学
余談になります。
もぐさを使いお灸をする事で思わぬ気付きがあります。
現代社会は何事においても環境との関係が注目される時代です。
以前は「医療は命にかかわる事象なので環境問題とは別物」だという認識が長くなされてきました。
カーボンニュートラル
しかし、菅義偉首相は令和02年10月26日に開会した臨時国会の所信表明演説で、国内の温暖化ガスの排出を2050年までに「実質ゼロ」とする方針を表明しました。
各紙紙面を賑わせた「2050年カーボンニュートラル宣言」。
カーボンニュートラルとはCO2やメタンなどの温暖化ガス排出量を、森林吸収や排出量取引などで吸収される量を差し引いて全体としてゼロにすることらしいのですが、これは日本どころか世界中が取り組むべき環境問題として提唱されています。
天産物としてのもぐさ
お灸の原料は自然界に自生しているよもぎです。
こう考えれば、お灸は環境にもとても優しい医療だということがお分かりいただけると思います。
お灸をする事で、
知らず知らずのうちにご自身の自然治癒力を高め
知らず知らずのうちに環境意識の高い治療を選択しているのです。