熱くない、アトの残らない灸がある

お灸と聞いただけで、熱い、怖い、アトが残る、何に効くのかわからない、本当に効果があるの?・・・

お灸の歴史は一千五百年

誰しも熱いのは嫌です。だから、仏教と共に我国に入ってきて一千五百年も歴史のある灸にあって、熱くない工夫がいろいろなされてきました。又、大きな効果がなければ灸治が一千五百年も続いてくるはずがありません。熱さの緩和策としては、間接灸に向かっていった方向と、直接灸のまま工夫をこらす方向の二つがあります。

お灸の種類

  • 間接灸とは
    もぐさと皮膚の間に色々なものをはさんで、熱が間接的に伝わるようにしたすえ方です。紙、ビワの葉、ミソ、塩、ニンニク等をスライスした物等があります。
  • 直接灸とは
    皮膚の上に直接お灸をするすえ方。直接患部に当たる為に熱く火傷にもなりやすい。
    昔からプロは直接灸のみを実施してきました。その理由は、直接灸の方が間接灸より効果が格段に高いからです。直接灸でありながら、熱さを最小限にしたのが「八分灸」です。効果の大きい「八分灸」を私は強くお勧めします。八分灸は、もぐさが八分くらい燃えて、熱さを感じるか感じないかその一瞬に、燃えているもぐさをつまみ消しながら皮膚から取り去ります。

「速効性」のある灸治

八分灸には即効性があります。特にひざの痛みや腰痛等の痛みの疾患では、一回の治療でその痛みが大幅に除去されるのが普通です。膝の痛みで階段の昇降が困難であった人も一回の治療で帰りには格段に楽になるのが普通です。又ギックリ腰で杖を忘れて帰ることもよく見られることです。

八分灸の特徴

灸治程、衛生的な治療はありません。エイズやC型肝炎等のウイルスは、血から血へ、あるいは粘膜から粘膜へ感染します。その点、お灸は表皮のみを対象としますので、ウイルス感染の心配はありませ。又、八分灸には副作用がありません。灸は中国を起源として三千年をこえる歴史があります。我国へは、仏教が伝来する時に、僧侶が仏教と共に持ち込んだものです。聖徳太子の時代に入ってきたのです。だから、一千五百年の歴史が我国においてもあるのです。今日に至るまで、プロもすえましたが、素人も各家庭で据え続けてきたものです。もし重大な副作用があるなら、こんなにも長く家庭で続けられるはずがありません。副作用が無いからこそ続いてきたのです。

「八分灸」のすえ方

を、福西佐元先生に指導いただきました。
皆様も解説を参考にして是非一度、お灸に挑戦してください。

【用意するもの】

もぐさ、線香、灰皿、水入れ、タオル、マジックペン(油性が好ましい)

【すえ方】

  1. 少量のもぐさを机の上に置き、その端に少量ずつのもぐさをくっつけてゆき、長さ5cmくらいの棒状にします。それを手のひらに置き、両手ですり合わせて直径4mm、長さ5cmくらいのひも状にします。
  2. 右手の薬指をみずにつけ、スーッと皮膚上をぬらします。
  3. その上に、ひも状のもぐさを7mmくらいの大きさにちぎって置くと、もぐさは水の吸引力で皮膚上に吸着します。
  4. 線香でもぐさに点火します。
  5. 直前に線香を置き、親指と人差し指を水でぬらします。
  6. あらかじめ熱さを感じるやいなや「ハイ」と合図してもらうことにしておき、その「ハイ」で水にぬれた指で燃えているもぐさを強くつまみ消しながら皮膚から取り去ります。
  7. こまめに指をタオルで拭いてから、次に点火し上記の動作を繰り返してゆきます。

【ツボの取り方】

八分灸をどこにすえるか、そのすえる場所がツボです。ツボにはいろいろな考え方がありますが、素人の方は次のように考えてください。

①ツボは押して痛い所である。
②ツボを点と考えず、面と考える。

つまり、押して痛い所を全部ツボと考えるのです。押して痛かったら、その痛い所に油性のマジックペンで印をつけ、それらの印全部に八分灸をすえてゆくのです。この場合、指で押すだけでは、痛い所とそうでない所がわかりづらければ、先の丸い鉛筆等で押してみるとよくわかります。

参考にしてください(八分灸のすえ方:http://www.okyu.org/suekata.html)

2005/04/30
愛知万博中部千年共生村ワークショップ「千年の癒しやいと」にて開催された内容を基に編集しています